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 Miranda Soligor 58mm f1.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造メーカー:ミランダカメラ
設計者:不明
製造番号:K710013
製造年:1960年頃
レンズ構成:5群7枚 変形ダブルガウス型(推定)
重量:417g
最小絞り値:16
絞り枚数:6枚
最短距離:45cm
マウント:プロミネントマウント(アダプターでライカ非連動マウントに)

Lens Impression

外見・スペックなどからはあまり強烈な印象を受けるレンズではないが、実際は非常に珍しいレンズです。1960年に発売されたミランダD型に装着されたレンズで同年のカタログにも記載されていましたが、同社が1960年から64年まで国内販売をすべて中断したことから、結果的に輸出のみとなってしまいました。長い間現存レンズの画像もなかったため、一時「幻のレンズ」と呼ばれたこともありました。
したがって、どの程度の期間で、何本のレンズが生産され、また現存しているのか、全くわかりません。
レンズ構成図も残っていませんが、前群・後群の反射面の数などから推定し、さらに同年代の他社58mmf1.4レンズなどのレンズ構成も参考としつつ、前群分離型のダブルガウスと想定しました。

描写は、被写体とボケのバランスが良くとれていて、安定した画像を与えてくれます。点光源の描写も優れています。変形ダブルガウス型と推定していますが、球面収差の過剰補正による2線ボケも適度に抑えられており、使いやすいレンズだと感じました。

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1960年、同社はミランダT発売からわずか5年で、国内販売を中止し、輸出のみに切り替えるという大きな決断を下す。ここには多くの制約があった国内販売に比べ、順調であった米国への輸出を総代理店として運営していたAICフォト社(Allied Inpex Corp)の意向が大きく働いていたと思われるが、さらに同社は翌年から7年間かけてミランダカメラの全株式を取得し、ミランダカメラを完全子会社として経営権を握ることとなる。

この間、ミランダカメラの創立時の夢を分かち合った共同経営者の大塚新太郎、初期の販売を引き受け資金提供をした松島写真用品(株)の三神誠らが、同社から離れていった。そして1969年のAICフォト社による完全子会社化とともに創業者萩原彰も経営から手を引いた。
 
同社の国内販売は1964年から再開されたが、経営上の動きとは別に、多くの新機種(露出計、EEモデル)を開発・投入した。しかし電子分野への投資は不十分で、人材も育っていなかった。電子分野での技術力の劣後は徐々に広がっていく。同社倒産の後に書かれた「銀行時評(1978.3)」という金融系雑誌の記事では、「カメラ業界もLSIなどの高度の電子技術を使うようになり、ペトリやミランダは電子技術者が皆無ということから長い目で見れば所詮経営の継続は無理であった。」と冷徹に批評されている。

このミランダ・ソリゴール58mmf1.5はいわゆる「幻のレンズ」と言われていたレンズで、1960年発行のマニュアルには記載があったものの、実物の画像がなく、実際に生産されたのかどうかも長年議論のあったレンズである。このレンズは1960年に発売されたミランダD型に付属されたもので、同社が1960年から1964年まで日本国内での販売を一切ストップしてしまったこともこうした議論を呼ぶ大きな要因となった。

したがって、こうして現物は手元にあるものの、何本作られたのか、レンズ構成はどうなのか、などの詳しい情報は不明のままだ。
レンズのガラス反射面でレンズ構成を推定してみると、前群は7面(正4+逆3)、後群は5面(正2+逆3)となった。これで推定すると前群が1+1+2、後群が2+1の前群分離型の変形ダブルガウス型であるようだ。ほぼ同時期の1960年ニッコール58mmf1.4も同様の構成であり、可能性はあるだろう。

 Photos with Miranda Soligor 58mm f1.5
 
2018
Asakusa
(浅草)

雪の降った次の日の浅草です。冬日の弱々しい太陽光線ですが、しっかりと描写してくれています。当初は線の太いレンズかとも感じたのですが、画像を確認してみると繊細な描写もしっかりしてくれています。
ボケには大きな乱れはありませんが、2線ボケがやや強めに出ます。それが重なり合うことによって、背景によっては少し暴れた感じを得るかもしれませんね。
夕刻の風景も少し撮影しましたが、点光源の描写などは極めて安定しています。他の古典レンズでは何らかの収差によって光源の形が特徴的に出ますが、このレンズではそんなことはないようです。

I visited Asakusa on the next day of snow. This lens gave good image eve under the week winter light. I first felt its image was not such thin and fine, but I found delicate description when I checked the image in a big monitor.
There are not big flows in bokeh, it shows a little strong 2 lines bokeh. When they are piled up, it is possible to feel a little disorder.
I took some in the evening, the image of point lights are very stable. The other vintage lenses I usually use shows characteristic shape of them , this lens does not.

2018
Musium
(博物館)
暗い室内でのスポットライトによる描写ですが、被写体・ボケともに安定した描写が魅力的です。時折2線ボケに伴うボケの流れが感じられますが、あまり強くないと思われます。

They are taken under spot lights in a dark room, but it gives very stable description for both of the subject and bokeh. I can find some flows of bokeh because of 2 lines bokeh in some pictures, I can say it is not such strong.